今回お話をうかがったのは、『よろこびむすび』のウェブ制作を担当してくれた、いとみウェブの伊藤みほさん。システムエンジニアからウェブデザイナーとなり、いとみウェブを立ち上げるまでのストーリーをお話ししていただきました。
伊藤みほさん プロフィール
WEBデザイナー
大学卒業後、システムエンジニアとして勤務。10年ほどOSなどのインフラ関連の作業を行う。
出産・育休をきっかけに働き方を見直し、WEB制作会社に転職。
主にホームページのカスタマイズや運用代行、運用提案を行う。
第2子妊娠後、フリーで活動を開始。
https://itomi-web.com/
――伊藤さんは大学卒業後、システムエンジニアとして就職されていますが、システムエンジニアになろうと思ったきっかけは、どのようなものでしたか?
中学生くらいのときにSuicaができて、自分もそういう便利な機能やシステムを作ってみたいと思ったのがきっかけです。昔から家に父のパソコンがあって、小さいころからそれを借りてゲームをしたり、お絵描きをしたりしていました。中学生のときにはホームページを自分で作ってみたこともあります。システム系にはずっと興味がありましたが、実際にシステムエンジニアになろうと思ったのは高校生のときでした。
――では、進学先も理系ですか?
はい。大学は情報工学部に進学し、プログラミングを学びました。大学卒業後、地元の長野に戻ってから、システムエンジニアの会社に就職しました。システムエンジニアというのは幅が広いのですが、就職先は大きな会社の子会社だったので、幅広い分野を手掛けていることや全国的に活躍できること、地元にあって家から近かったことなどが決め手になりました。
――入社した企業でやってみたかったことはどんなことでしたか?
機械に入っているシステムを作る、「組み込み系」というものに興味がありました。当時は、カーナビの中身を作ってみたいと思ったりしましたが、実際に配属されたのは、OS(オペレーションシステム)のヘルプデスクでした。サーバという大きな機械でお客様のシステムを動かすのですが、お客様が使うOSについての電話やメールでの問い合わせに回答する仕事でした。ほかにも、サーバに起こっているトラブルの対応も行いました。
――ヘルプデスクに問い合わせをしてくる人は、ストレスを抱えて連絡してきますよね。対応が大変だったのではないですか?
お客様が電話してくるときは、わからないときやトラブルが起きているときなので、「すぐにどうにかしてください。なぜわからないのですか?」などと強い口調で言われたり、新人だったので、長く使っているお客様の方が知識がある場合もあって、怒られたりすることもありました。自分の知識のなさに落ち込むこともありましたが、お客様からの情報やデータ、資料から事象・原因・対策を理解し、お客様に伝える経験をして、緊急時の対応方法を学ぶことができましたし、メンタルが鍛えられました。支払いに関するシステムや、人の生死にかかわる病院に関するシステムなどは即日対応をする必要があり、夜遅くまで対応したこともありました。マイナスからのスタートが多い仕事だったのですが、最後プラスにできるとお客様にも喜んでもらえて良かったです。また、電話やメールでの対応の所作についても学ぶことができました。
――その後、異動されたのですね。
営業の人と一緒に客先に行き、システム導入を勧める仕事をしました。初めてのお客様のところに行くことが多かったので、その会社について知るためにホームページを見ることが多かったのですが、何をする会社なのかわからないことがありました。企業の価値をホームページで伝えきれていないと感じることがあって、ホームページを作る仕事に関心をもつようになりました。
――ウェブデザインの学校に通い始めたのは、その頃ですか?
通い始めたのは、夫と同居ができる東京に転勤させていただいたあと、育休を取得しているときでした。10カ月かけてウェブデザインとホームページの作り方を学びました。動画を見ながら在宅で勉強できる学校だったので、平日は家で勉強して、土日だけ夫に子どもを任せて学校に行くという感じでした。平日はあまり時間が取れなかったので土日に集中して勉強していました。主人が子どもをみてくれなければできなかったと思います。
――ホームページ作りというのは、大学で学んだ知識が活かされましたか?
あまり活かされていないですね(笑)。学校に来ている方も別の業種の方が多かったです。
――赤ちゃんを育てながら学校に通うのは大変だったのではないですか?
育休が終わり、仕事に復帰してからも学校の過程が残っていて勉強していましたが、子どもが幸いあまり夜泣きをしなかったので、子どもが寝たら少し集中できるかな、という感じでした。
――平日は仕事があって、赤ちゃんもいて、土日に学校に通って…すごいですね。さらに転職もなさったのですね。
育休が明けて、半年ぐらいで転職しました。子どもが保育園に行きはじめたら、風邪をもらってきたりとか、お迎えに呼び出されたりして、仕事を休まなくてはならないことが増えましたし、家の近くで働きたいと思うようになりました。近所のホームページ制作会社を探したら求人があって、まだスクールに行っている途中だったのですが、アルバイトとして採用されました。転職先では、入ってから勉強することが多かったですね。
――ホームページの制作会社ではどのようなお仕事をされていたのですか?
主にホームページ制作後の運用やカスタマイズをしていました。「この部分を毎月更新したいけれどやりづらい」というリクエストには、簡単に更新できる仕組みを加えたり、運用代行もやっていたので、お客様から修正原稿を受け取って、言葉や画像を入れ替えたりしていました。また、このキャンペーンを強調したいという相談を受けて、バナーや新しいページをつくることを提案して実行していました。デザインに関する相談も多くて、例えば、3つ何かを載せなければならないときに、どう並べればよいかとか、色や形についてなど、試行錯誤しながらお客様と相談して決めていきました。
――どんなお客様が多かったですか?
企業のお客様が多く、大きな病院や、金融機関の仕事もありました。規模の大きな会社では、ページの統一性や管理方法についても学ぶことがありました。システムエンジニアのときも、WEB制作会社でも、いろいろな業種のお客様に関われたのが自分の成長につながった転機だと思っています。お客様の業務を理解することでよりホームページを魅力的にする提案ができると考えています。
――ウェブデザインの仕事の大変なところはどんなところですか?
ウェブの特性ですが、1回世に出してもそのあと直せるので、お客様の修正依頼に対応するのが大変なときがあります。新しい情報に更新するのは良いのですが、お客様の方でも決めきれないことがあるのですね。でも、変更に対応できるのがウェブのいいところでもあると思っています。
――フリーになろうと思ったきっかけは?
二つ理由があって、子供の体調不良などで急に仕事を休まなければならなくなることが増えて、自分でスケジュールを調整できるようにしたかったことと、もう一つは、前職では主に運用に関する対応を行っていたのですが、企画や作成段階から自分でできるようにスキルアップしたかったことです。最初から自分で作れば、最後の運用がしやすくできるという思いもありますし、どうやっていきたいか、どういうことを発信していきたいかということをお客様と一緒に考えていけたらいいな、とも思っています。すべて自分で管理しないといけないので大変ではありますが、一括して考えられるので学ぶことが多いです。
――いとみウェブの名前の由来は、伊藤みほさんのお名前からですか?
そうです。名前を考えることに一番時間を使いました。自分の名前で一番わかりやすいのと、「ウェブ」とつけたのは、ホームページやウェブ関係の仕事をやっていきたいので、それがわかるようにしました。
――「隠れ家ホームページ制作事務所」というキャッチコピーも、とても素敵だと思っているのですが、こちらはどのように考えられたのですか?
「隠れ家レストラン」という言葉が好きで、「隠れ家レストラン」に行きたいなと思ったりしていたのです。「隠れ家レストラン」のように知る人ぞ知る丁寧なサービスを提供できるホームページ制作事務所を目指しています。
――いとみウェブではどんな仕事をしていきたいですか?
ホームページを作って終わりではなく、運用まで含めた対応をお手伝いしていきたいです。記事を更新したり、最新の情報を提供したりすることで、サイトの価値が上がり、お客様の利益になります。ちょっとした悩みや使いづらさから更新されなくなる場合もありますので、少しのことも改善したいと考えています。ホームページ作りましたというお知らせが掲載されたまま何年も更新されていないサイトや、会社概要が古いままのサイトなどを見かけますが、ホームページは意外と見られていますので、もったいないと思います。やり方がわからないなら依頼していただきたいですし、そのときにその部分だけではなくて、こういうものを載せましょうか?というようなことを相談したり提案したりできる関係が築けたらいいなと思っています。
――いとみウェブの強みはどんなところですか?
制作から運用までトータルでお手伝いさせていただきます。ホームページは作って終わりではありません。情報発信をする人が「見せたい内容」と見る人の「見たい内容」をマッチさせて少しずつ変更していくことが良いホームページだと思います。お客様と一緒にホームページを改善するお手伝いをしていきたいです。ホームページ制作と検索すると、敷居の高いような会社が出てきて、なかなか依頼しづらいと思うのですが、個人や、飲食店、小さな会社の方でも、ホームページがうまくいっていないという人を手助けできればいいなと思っています。ホームページを作らなくても、お話を伺ってSNSから始めてみましょうとか、googleビジネスを使ってgoogle上の情報を更新しましょうという提案をしたりして、お客様のやりたいことを実現したいですね。
――読者へのメッセージをお願いします。
ホームページを作りたいけど何からすればいいのかな、などお悩みの方も多いと思います。まずは世間話でもよいので興味があることや好きなものなどを教えていただきご提案させていただきたいと思います。まずは一歩踏み出して作ってみる、リニューアルしてみるということが大切だと思いますのでお気軽にご相談ください。
<おはなしを聞いて>
『よろこびむすび』のウェブサイト制作を担当していただいた伊藤さんは、とても穏やかで奥ゆかしい雰囲気の女性です。希望するイメージを言葉で伝えただけで、こんなサイトが良いのではないか、という参考になるサイトをいくつも教えてくれて、細かいリクエストにも一つずつ対応してくれました。また、驚いたのはとても話しやすかったこと。伊藤さんと私の間にはウェブに関して大きな知識の差があるはずなのに、わからない言葉を使うことはなく、ひとつひとつ丁寧に私のわかる言葉に置き換えて話を進めてくれました。そのため、やりとりにストレスを感じることがなく、終始スムーズに進めることができました。
「隠れ家ホームページ制作事務所」というキャッチコピーは、伊藤さんの奥ゆかしさ、やさしさ、丁寧さがよく表現されていると思っています。これからも伊藤さんの仕事で多くの人がウェブ周りの困りごとを解消して、ビジネスや情報発信がうまくいくといいなと思います。