2週間ほど前に買った、鉢植えの黄色い花の元気がなくなってしまいました。窓際に置いていましたが、日照が足りなかったのかもしれません。その鉢をベランダに出したとき、中学校のときの記憶がよみがえってきました。
私が通っていたのは公立中学で、1学年10クラスもありました。先生方も個性豊かで、当時はまだ体罰があったり、日常的に竹刀を持っている先生もいたりしましたが、それでも学校の雰囲気は明るく私はよく笑っていたと思います。
3年生のときの担任の先生は、確か30歳少し手前のきれいな女性の先生でした。ほかの先生に比べて優しく、字もきれいで、私は憧れていました。先生は、普段厳しく叱るようなことはあまりありませんでした。
ある日の帰りのホームルームで、先生は少し震えるような声で、窓際に置いていた植木鉢の花がいたずらされていたことを全員の前で話しました。そのとき、私達はことの重大さがよくわかっておらず、先生と生徒の間には、明らかな温度差がありました。すると、先生は
「私は怒っているんです。」
と言いました。いろいろな先生が怒っているのを見たことはありましたが、「怒っているんです」と言う先生を見たのは初めてでした。私たちは普段穏やかな先生の一言に静まり返りました。結局その後どうなったのか記憶はないのですが、先生が「怒っているんです」と言った光景だけは、30年以上たった今も覚えているのです。
なぜ先生が教室に花の咲いた鉢を置いておいてくれたのか、その花がいたずらされてどんな気持ちだったのか想像すると、胸が痛みます。当時の先生の歳よりも、はるかに大人になった私ですが、当時の出来事から今も教えてもらっています。
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