国家資格キャリアコンサルタントの二次試験にはロールプレイがあり、キャリアコンサルタントとして相談者に対応する様子を見られます。キャリアカウンセリングにおいて大切なのは「受容・共感・自己一致」といわれる基本的態度です。試験にチャレンジした当初、私はこの基本的態度の本当の難しさに気づいていませんでした。
私にとって難しかったのは「共感」でした。相談者の話を聞くと、共感よりも前に自然と解決策を考えてしまう。試験対策で私のロールプレイを見てくれた指導者の「あなたはどうしてそうなってしまったのかしら」という一言が自分のことを振り返るきっかけになりました。
根強い問題解決志向。これが私の問題でした。原因はいくつも思い当たりました。子どものころから、「誰かの言ったことが必ずしも正しいとは限らない。一つの意見があったら反対側からも見なさい」といわれて育ったこと。また、実家にいたころは、よく新聞の人生相談欄を読んでいました。人生相談の回答は決められた文字数でスパッと解決策を提示したりします(最近『きょうも誰かが悩んでるー人生案内100年分』という読売新聞生活部が出している本を読んだのですが、驚くほどはっきりとした回答が満載でした)。
合格するまで試験対策のロールプレイを繰り返し、共感の難しさや大切さを強く認識した私が、最近驚いたのはChatGTP。軽い気持ちで、「ウェブサイトを運営していますが、毎日記事を書けません。どうしたらよいでしょうか」と聞いてみたところ、回答の最初の一文がまさに共感だったのです。その後、毎日記事を書く方法や書かなくても良い方法など豊富なアドバイスをしてくれたのですが、私はアドバイスよりも共感の一文にくぎ付けでした。そこで、「ChatGTPは共感もできるのですね」と聞いてみたところ、肯定する返信が瞬時に現れました。人間の私がてこずった共感を、生成AIが機能として持っている。試しに最近起きた出来事を入力してみると、「お気持ちお察しします」との返信。私が入力したのは疑問文でもないのに、共感を示し必要な情報を集め前向きなアドバイスをしてくれました。
共感力がある生成AI。これから人間はこの道具をどのように使っていくのでしょう。楽しみなような、ちょっと怖いような気もしています。人として、ChatGTPより高い共感力は持っていたいと思うので、日々精進したいと思います。
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